戸籍の種類
2024年4月2日
家系図作成のための戸籍を請求すると、年代や様式の違う数種類の戸籍が届きます。
法律の改正による、新しい様式の戸籍へ作り替え(戸籍の改製)が行われてきたためです。
コンピュータ化されている現在の戸籍はすぐに分かりますが、
古い戸籍は様式が似ていてどの年代の戸籍なのか、区別するのが難しいです。
それぞれの戸籍の特徴が分かると年代順に並べることができ、
戸籍の繋がりが見えてきます。
どのような時代に作られ、戸籍に記載される内容が変わっていったのか、
古い戸籍から順にみていきましょう。
明治19年式戸籍
現在取得可能な戸籍の中で、最も古い戸籍になります。
明治19年10月16日~明治31年7月15日までの間に作られた戸籍です。
届いた戸籍の写しの1枚目は、9人分の氏名欄が、2枚目は10人分の氏名欄があります。
本籍の表示は番地でなく、番戸や番屋敷が多いです。
また変体仮名や旧字体が多く、手書きのため解読不明な場合もあります。
家を一つの単位として、一家の代表者である戸主を中心に
孫や兄弟の妻、甥姪など多くの親族が戸籍に名を連ねています。
戸主が亡くなった場合、家督相続がなされ新しい戸主名で新たな戸籍が作られました。
明治31年式戸籍
明治31年7月16日~大正3年12月31日までの間に作られた戸籍です。
新たに、「戸主と為りたる原因及び年月日」という欄が追加され
いつどのような理由で戸主になったのかが明確に分かり、戸籍の編製日がはっきりしています。
「前戸主との続柄」「父」「母」「父母との続柄」の欄があり、
身分関係がよく分かるようになりました。
大正4年式戸籍への改製は、明治31年式戸籍が大正4年式戸籍としてその効力を有していたため
直ちに改製する必要はありませんでした。
※明治初期まで、戸籍の本籍は居住地そのものを示していましたが、
時代が進むにつれ本籍地以外で仕事に就いたり
本籍地を離れて生活を営む者が多くなってきました。
人口移動が激化し、本籍地=居住地という形態が崩れると
戸籍は住所証明の機能を失い、次第に生没・婚姻などの身分の登録制度に変わっていきました。
大正4年式戸籍
大正4年1月1日~昭和22年12月31日までの間に作られた戸籍です。
「戸主と為りたる原因及び年月日」の欄が廃止され、戸籍の一枚目の半分が
主に戸主に関しての情報となっています。
昭和23年式戸籍への改製はそれまでの法改正とは大きく異なり、
戸籍の土台となる制度自体が変わる大幅な改正であったため、多くの労力と多額の費用
それに社会全体の大きな価値観の転換が必要でした。
終戦後の経済や社会の混乱期とも重なり、一時改製、二次改製を経て
段階的に推し進められていきます。
昭和23年式戸籍
昭和23年1月1日以降に作られていて、タイプライターか手書きのどちらかで作成されています。
夫婦と未婚の子を一つの単位として編成され、
三世代以上が同じ戸籍に入ることはできなくなりました。
「戸主欄」「前戸主欄」が廃止され、「筆頭者氏名欄」が新たに設けられました。
筆頭者が亡くなっても新しい戸籍には作り替えられず、
その戸籍の筆頭者は亡くなった方のままです。
同じ戸籍内の各人に共通する事柄を記載するために「戸籍事項欄」が設けられています。
戸籍事項欄には、その戸籍の編成日・消除日が記載されているため
いつからいつまでの戸籍かを容易に判別できるようになりました。
※戦後を迎えると家族制度が民主化され、
「家」制度を前提としたものから
個人の尊厳と両性の本質的平等に基づく制度に改められました。
戸籍はもはや家とは全く関係なく、夫婦とその未婚の子を中心としたものとなります。
平成6年式戸籍
それまで手書きが主だった戸籍の処理を、コンピュータ管理するようになり、
従来の紙媒体に替わって戸籍がデータ化されました。
縦書きだった戸籍が横書きに変わり、
戸籍謄本の名称が「戸籍全部事項証明」と変更されました。
戸籍の改製は、人々の生活様式の変化や
歴史上の出来事と大きな関わりがあることが分かります。
幕末期や明治時代、戦前戦後など時代の転換期を過ごしてきたご先祖と、
昭和から平成、令和へ移り変わる時代を生きている私たち。
それぞれの時代を生きてきた人々の証の一つとして、戸籍が存在します。
子々孫々受け継がれていってほしいものです。